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第三回「フォーラム・現代東アジア研究」報告──世界史における現代中国の位置

 フォーラムもそろそろ軌道に乗ってきた。硬派なテーマでガツガツと中国という対象に切り込みつつある我々だが、今回もスーパーハード、というか基本中の基本なテーマで中国に切り込んだ。そのテーマも、世界史における現代中国の位置、である。しかし、その基本が最も複雑だ。

 世界史における現代中国の位置。この言葉自体は違和感なく入るのだが、いざテーマを改めて設定してみると、非常に???な話ではないだろうか。中国も世界史の一部でしょ、といわれれば確かにそうだよな……と漠然と思う自分がいるのはわかるし、あとは学校の「世界史」の授業で耶律阿保機とかヌルハチとか覚えたよな、というおぼろげな記憶や、あとは毛沢東とか蒋介石はまあ知っている……というのもあるのだが、じゃあ暗記モノの世界史を超えたところで何か知っているだろうかと自らを顧みると大変心もとない。中国問題を研究、といってもその足下がぐらついていることのみばかり気づいてしまう。

 とはいえ歴史的視点無しには中国は見えない、という一点のみで勉強一筋。今回も前回に引き続き,丸川哲史・明治大学准教授のお話を伺った。
 
■「中国は否応無しに世界史の一部である」

 中国は否応無しに世界史の主要な一部である。このことをまずは認識せざるを得ない。世界人口の中に中国人が占める比率を考えてみればいいし、経済規模においてももはや米国に次ぐ世界第二位の国内総生産(2010年)を誇り、2020年には米国を追い抜くとIMFが予測するほど。
 中国の政治・社会システムはかなり特殊なものであることは否めない。ではこの中国的システムが世界の中でどのように説明されるのだろうか。

■「世界史」は誰が動かすのか 
 
 1989年から91年、冷戦構造が解体して行くなかでフランシス・フクヤマという学者が非常に持ち上げられた。彼はヘーゲル学者であって、要するにヘーゲルの「世界史」とは、「自由・理性が世界史の隅々まで行き渡る過程であって、啓蒙思想、宗教改革、フランス革命の三つを経験したヨーロッパがその原動力である」であるという定式、このヨーロッパの部分をアメリカに置き換えて適用したのである。

 要するにアメリカが世界史の主体である、という見方であるが、その上での中国観が力を持っているということだ。
 
■浮上する「北京コンセンサス」

 冷戦構造解体後のアメリカ主導型のグローバル化(「ワシントン・コンセンサス」)に対抗する流れとして、「北京・コンセンサス」が存在する。「ワシントン・コンセンサス」の特徴としては、「小さな政府」「規制緩和」「市場原理」「民営化」などの推進が挙げられるのだが、これに対する対抗軸が「北京・コンセンサス」である。「北京・コンセンサス」は、例えばロシアのプーチン政権による企業の再国有化、南米における90年代後半から00年代初頭にかけての左派政権の成立など、第三世界の国々の一連の動きの総称である。特徴としては中央集権的国家が金融権を掌握する、西側的な経済的自由や人権もある程度抑制される傾向などが指摘されている。

「北京・コンセンサス」と言われる一連の傾向は、端的に言って中国の政治方針と重なるのだが、これが世界的にコンセンサスを得ているのではないか、というのが「北京・コンセンサス」である。
 この見方はもともとアメリカの中国専門家、ジョシュア・クーパー・ラモにより04年に発表されたものだが、この見方はアメリカの中国観を表しているし、また第三世界の国々もこの視点を共有し、何よりも中国もこの視点を共有している。

 日本のメディアではあまり取り上げられていないようだが,国際的には重要な観点として、報道、議論されている。
 
■中国のナショナリズムとは

 中国のナショナリズム、その歴史的経緯を見ると、ロシア革命(1917)、ウィルソンの民族自決宣言(1919)以降の歴史を見る必要がある。

 中国は第一次大戦で戦勝国に位置したものの、日本による対中21か条要求(1915)への北京の軍閥政府の屈服、ヴェルサイユ条約における日本の山東省の権益の容認、などへの反発,また朝鮮での三一運動の影響などから、中国で五四運動が発生した。
 五四運動は中国現代史の基点とされ、日本で言えば明治維新に相当するほどの重みを持つ。

■90年目の国民形成運動

 中国のナショナリズムは国民形成の歴史である。辛亥革命で清朝を打倒したものの、国民という主体が形成されておらず、軍閥の割拠する状態に。国民意識を形成するための装置として国民党を立ち上げる。孫文曰く、「人間の心を育てるのは党」。国民革命=北伐へ。

 軍閥を打倒する過程で、内陸部軍閥の基盤である大土地所有制の打倒の必要性が生じる。土地改革を通じ共産党と国民党の連合が行われ、国民革命の中に共産革命の要素が挿入されていった。

 国民形成運動は未だ中国では終わっていない。一般的に考えて中産階級が厚く形成されること、またヨーロッパ的な意味での「市民」が誕生することが必要だが,中国の人口の多数を占める農民に市民的自由があるかというと難しい。また、国政選挙がないという現実もある。

 中国にも「日本と比べても、我々にはまだ国民形成が完了していない」という意識がある。

 皮肉にも、共産党の存在が国民形成が未だ終わっていない事の指標となっている。共産党は革命政党であり、革命が終われば党は消滅しなくてはならないというロジックがある。

■丸川さんの話をうけて

 丸川さんの話には前回に引き続き自分たちが世界を見るときに、アメリカ主導のグローバル化を受け入れることを前提にモノを見すぎてしまっていないだろうか、ということをまず考える。「北京コンセンサス」的な感覚は、実は第三世界諸国においては広く存在している、というのは、例えば中国と第三世界諸国の強い経済的結びつきなどを考えれば、おぼろげながら浮かんでくるだろう。

 また、五四運動の歴史的位置、その重みなどはもっと考えられるべきであろう。日本現代史を考える上で、明治維新のインパクトを見ないことが不可能であるのと同じほどの重みを、五四運動は持っているのである。基本的な事柄であるといわれればそれまでだが、中国を考える上で持たないわけにはいかない視点であろう。

 まったく目からうろこのお話を今回もしていただき、丸川さんには本当に感謝である。

(事務局・福田慶太 フリーライター・編集)
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